
Step4 応用する
では、ここで問題です。2枚のモナリザのうち、どちらが本物でしょう?それぞれどんな印象を受けるか、よく観察して考えてみましょう。
先輩アドバイス
兵庫県 芦屋学園高等学校出身
在学生(4年)
本物のモナリザは、頬が隆起して見える左!人の印象を変える要因を解き明かすと知らなかった世界が見えてくる。
本物のモナリザは…左です!
左の方が微笑みを強く認識できます。頬と口元の明暗(コントラスト)を抑えると口元まで描き変えているように見えますが、頬の陰影以外は何も変わっていないんですよ…とても不思議ですよね。
私の卒業論文のテーマは「色によって変わる部屋の印象」で、ホテルの客室を例に研究を進めていく予定なのですが、今回の「笑顔の秘密」のようにさまざまな視点を取り入れて考えていければと思っています。たとえば宿泊する季節の違い、電球の違い、香りの違いによって、おなじ色でも受ける印象は変わるでしょうし、もっと思いもよらない要因がそこに隠れているかもしれません。将来はホテルへの就職を希望しているのですが、いつか研究を活かして、他にはない素敵な宿泊プランを企画することがいまの目標です!
先生のまとめ
ダ・ヴィンチは笑顔の秘密を知っていた?
ものごとを柔軟に見る姿勢が、新しい価値を生む。
2つのモナリザの違い、わかりましたか?頬の明暗の差に注意して観察してみると…本物のモナリザは左だとわかります。右の方は頬の陰影をおさえ、本物の絵では暗くなっている部分を明るく加工しています。加工したのは頬の明るさだけですが、目元や口元の印象が大きく変わり、モナリザの“微笑”が消えてしまいました。ダ・ヴィンチは頬の陰影で微笑みを表現していたのです。彼は「笑顔の秘密」を知っていたのかもしれませんね。
笑顔と感じる表情に頬の隆起が関係していたように、人は、いろいろな情報を元に物事を認識しています。また、人が感じていることには、必ずその元となる情報があるはずです。ひとつの視点にとらわれず、あらゆる角度から考える習慣を身につけましょう。たとえば将来、商品開発など新しい価値を生み出すときに、その広い視野は強い武器になるはずです。