
Step4 応用する
いま興味があることや不満に思っていることは何ですか?その感情がヒットのヒントかもしれません!現代に「ハマる」テーマを探してみましょう。
『君の名は。』のようなヒット作品やヒット商品、時代の流行は大衆心理に関係しています。大衆心理を分析することは、商品企画などいろいろな現場で役立つはずです。
先輩アドバイス
兵庫県 松蔭高等学校出身
在学生(3年)
自分の興味と、世間の関心。
その交差点に独創的な「ヒット」のヒントがあるのかも!
名作と名高い『ローマの休日』。白黒映画なのに色がついて見えるような、カラフルな表現と女優のチャーミングさは、まさに不朽!だと感じました。でも、結局ふたりは結ばれなくて…正直、これってハッピーエンドなの?と腑に落ちないところもありました。でも今回学んだように、それは現代だからこその感覚なのかもしれません。これからあらゆる作品と向き合っていくときには、時代性を意識するようにしないといけませんね。
私が興味をもっているのは、ギリシャ神話についてです。ファンタジーや歴史物など、実は神話がルーツになっている作品は意外と多いんです。だから隠されたルーツを知ることで、作品をより楽しめたらいいなと思っています。また、最近注目されているキーワードとしては「ジェンダー」が思い浮かびます。ギリシャ神話とジェンダーをリンクさせたら、面白い作品が生まれるかも…?いろいろと考えながら、「ヒット」について研究していきたいです。
先生のまとめ
日本人は悲恋が好き?
それぞれの時代にヒットしたものを分析すると、これまでとは違った考え方で作品を分析できます。
『ローマの休日』ヒットの理由は、貧しかった大衆の生活をとらえ、当時の女性の心を肯定したことにあると説明しました。ですが、さらにもう一つ。ヒットの裏側には日本人独特の心理も働いていたのです。それは…「悲劇が好きだ」ということ!なんらかの障害があって相思相愛なのに結ばれない…あるいは大義のために自分の思いを抑えて集団に尽くす…。古くは近松門左衛門の「心中もの」に、後者は高倉健の東映作品に多く見られます。昔から日本人はこうしたパターンの物語が大好きな国民です。日本で『ローマの休日』が大ヒットを記録し、現在まで根強い人気を保っているのは、この作品が日本人の心の琴線に触れるものを持っていたからに他ならないと私は考えています。
「悲恋もの」において、1960年代半ばまでは、貧富や身分の差が恋の障害となっていました。しかし、60年代後半には社会の変化によって、その差が障害ではなくなってしまいます。そこで登場したのが≪難病映画≫なのですが、医学の発達した現在では、病気ももはや恋人たちの障害とはなりえません。最後に残された砦として「時間」が登場します。つまり、日本人の「悲劇好き」はSFに昇華したと言えるのです。
最近ヒットした映画でも、時間の壁が出てきませんでしたか?古臭いなどといわずに、名作や古典を知ってから新しい作品を学ぶと、きっとまた、違った分析ができるでしょう。そういう意味で、ギリシャ神話を知ることはとても大切だと思います。