
Step4 応用する
伝統を大切にしながらも、時代に即したものを生み出していく。
それが神戸気質なのかもしれません。伝統と革新が共生する神戸の街で書や日本文化を学んでみませんか?
今やっていることや見えていることが本当に正しいかどうか?一度疑問をもってみてほしいと思います。
先輩アドバイス
大阪府立箕面高等学校出身
在学生(3年)
絵画などと同じように、書でも想いを表現できる。「書=地味」じゃないと知ってほしい!
私は子どものころから書道をしていて、神戸松蔭に入学を決めたのも、書の授業が充実していて魅力的だったからです。高校生まではお手本通りの書をしていたのですが、入学後はほかの芸術分野や文化の要素も取り入れた作品に取り組んでいます!たとえば墨一色というイメージの書と色彩を組み合わせたり、絵と組み合わせてうちわや扇子を使ってみたり。ただ文字を書くだけでなく、「何を伝えたいか」幅広い視野から見て、考えることが大切だと思うようになりました。
オープンキャンパスの書体験で高校生の皆さんにアドバイスするときも、「キレイに書くだけが書じゃないよ」と伝えています。書は地味というイメージがあるかもしれませんが、決して地味じゃありません!私はいま、お洒落で格好いい、自分だけの書表現を模索しています。
先生のまとめ
ほかの芸術や国について学び、視野を広げながら、書や日本文化を深めてください。
今回取り上げた安東聖空と森田子龍について、少し詳しくお話ししましょう。
安東聖空の【図1】のような仮名作品を「大字仮名」と呼びます。従来の仮名書は小さな文字で書いて机上で鑑賞されるのが通例でした。それを、大きな壁面でも鑑賞に耐えられるようにと「大字仮名運動」を進めたのが安東聖空とその弟子たちでした。彼らの影響もあり、今でも神戸では仮名書が盛んです。一方、【図2】のような作品は、文字を書く意味…書とは何か?を追求し、西洋美術との対比や禅の思想を学ぶ中から生まれたものです。
彼らは2人とも「文字を書くだけの人」ではありませんでした。書に軸足を置きながらも、今自分が行っていることを問い直し、幅広い知識と新たな視点を得て、日本が誇れる独自の文化を開発していたのです。
みなさんもぜひ、書でも日本文化でもそれだけを勉強するのではなく、他の芸術や他の国についても注目してみてください。人と文化、モノとコトの交流が盛んな神戸の街と神戸松蔭は、視野を広げ、興味を深掘りするのに適した場所だと思います!
本学図書館には貴重な書の資料も所蔵されており、直接見て学ぶことができます。
【右画像】
「本願寺本三十六人家集」(国宝)の木版色刷複製
(神戸松蔭女子学院大学所蔵)

※本学は神戸市立博物館と連携協定を結んでいます。